移転価格税制について
内国法人又は日本に支店を有する外国法人が国外関連者と取引を実施する場合、意図的か否かを問わず、取引価格を自由に設定でき、結果として多国籍企業グループが望む形で各グループ企業への所得配分が可能となります。多国籍企業グループの視点は、法人所得税率の低い又は0の国(地域)に所得を集め、多国籍企業グループとして租税負担率を引き下げようとするインセンティブが働きます。
一方、各国(地域)の税務当局の視点では、多国籍企業グループが法人所得税率の低い又は0の国(地域)に所得を集めることによる国外への所得移転や、そのような意図がない場合も含めて所得が移転することを防ぐ必要があります。
このように、多国籍企業グループ内での取引価格は、国家(地域)にとって非常に重要である課税権に影響を及ぼすことは各国(地域)にとって大きな問題となるため、独立企業間における通常の経済取引が行われたならば付されたであろう価格、つまり独立企業間価格で取引が行われたものとして各国(地域)に所得が配分されるよう、多くの国で移転価格税制が導入されています。
概要
移転価格税制は、独立企業間取引で付されるであろう価格(独立企業間価格)で国外関連取引を行ったものとして法人所得税の計算をするという根本的な考え方は同じであるものの、独立企業間価格をいくらにするかは、国家(地域)間の税金の取り合いという側面も強いことから国(地域)によって異なることがむしろ当然という状況にあります。したがって、どちらか一方の国(地域)の移転価格税制に基づき独立企業間価格を算定すれば、他方の国(地域)でも受け入れられる、ということにはなりません。そのため、各企業の移転価格担当者は、自国(地域)はもとより、国外関連者所在国(地域)の移転価格税制についても理解した上で業務を実施することが求められます。
想定される業務
移転価格のご担当者は、日本の移転価格税制を理解の上、各国外関連者と連携し、以下について対応することが必要になります。
- 国外関連者所在国の移転価格税制に係る最新情報の収集
- 独立企業間価格に係る考え方の理解
- 各国特有の論点の理解
想定される業務上の注意点
以下のような各国の移転価格税制への理解や貴社ビジネスへの影響に係る検討が想定されます。
- 国外関連者所在国の移転価格税制に係る最新情報の収集と改正内容への理解
- 独立企業間価格に係る考え方の理解とビジネスへの影響の検討
- 各国特有の論点の理解とビジネスへの影響の検討
業務をスムーズに進めるための事前対策
移転価格のご担当者には各国の移転価格税制の理解が求められますが、各国の最新情報の収集や専門用語の理解は難しいものです。税理士法人フェアコンサルティングでは、ご担当者の方々向けに以下のような研修やインハウスセミナーを随時行っております。日々の業務の中で必要になる知識・情報を移転価格専門家が丁寧にお伝え致しますので、お気軽にご相談ください。
- 各国移転価格税制に係る最新情報の提供
- 貴社向けオーダーメイドの内部研修・インハウスセミナーの実施
- 貴社ビジネスにおける特有論点に特化したアドバイス・ディスカッションの実施
- 事業部門への内部研修・インハウスセミナーの実施
Naoki Shimokawa
下川 直輝
事業会社の事業部門にて開発・マーケティング・事業管理と幅広く業務を経験した後、管理部門にて移転価格業務に従事。その後、デロイトトーマツ税理士法人にて、事業会社における幅広い業務経験と移転価格実務経験を活かし、多岐に亘る移転価格コンサルティングサービスを提供。2018年2月より3年間Deloitte Singaporeに駐在し、税務面でのシンガポールの日系企業サポートに加え、東南アジア地域における移転価格プロジェクトのサポートを担当。
税理士法人フェアコンサルティング(シンガポール事務所)においては、Regional Director (International Tax)として、主として移転価格アドバイザリーサービスを、シンガポール含め東南アジア地域の日系企業に提供。
フェアコンサルティングのネットワーク
フェアコンサルティンググループとして国内、国外とも多数の拠点をもっております。
- 国内
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メディア・書籍
フェアコンサルティンググループの執筆物をご紹介しております。
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月刊国際税務2024年1月号
定価: 年間購読のみ55,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2024.1 著者: 萩谷忠 -
月刊国際税務2023年5月号
「国際税務の相談室★移転価格税制」
タイトル:「研究開発を行っている、特許を保有している、という理由だけで、調査官から超過収益力があると指摘されています」定価: 年間購読料のみ55,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2023.5 著者: 萩谷忠 -
図説移転価格税制(Visual TP)
本書は、移転価格税制の基礎から、独立企業間価格の算定方法、移転価格文書化、税務調査、事前確認制度、相互協議などの実務上の取扱いや留意点について、文章と図解でわかりやすく解説しています。移転価格税制の全体像を掴むのに最適な一冊です。
定価: 6,600円 出版社: 税務研究会出版局 発行: 2022.11.1 著者: 萩谷 忠 (監修), 伊藤 雄二 (監修), 税理士法人フェアコンサルティング (著) -
月刊国際税務2022年9月号
「国際税務の相談室★金融取引(移転価格税制)」
タイトル:「新移転価格事務運営要領での金銭消費貸借取引及び債務保証取引の独立企業間価格」定価: 年間購読のみ15,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2022.9 著者: 萩谷忠 -
月刊国際税務2022年1月号
「国際税務の相談室★移転価格税制」
タイトル:「東南アジアに所在する国外関連者との取引に係る事前確認(APA)申出は行うべきか」定価: 年間購読のみ15,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2022.1 著者: 萩谷忠 -
国際税務研究会
「BEPS行動計画対応状況一覧表」
「BEPS行動計画13対応状況一覧表」著者: 細田明(執筆・監修) -
月刊国際税務2021年5月号
「国際税務の相談室★移転価格税制」
タイトル:「自立した国外関連者との取引に係る独立企業間価格」定価: 年間購読のみ15,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2021.5 著者: 萩谷忠 -
月刊国際税務2020年9月号
「国際税務の相談室★移転価格税制」
タイトル:「国際税務の相談室★移転価格税制・・キャプティブ(再)保険取引と移転価格税制」定価: 年間購読のみ15,000円(税込) 出版社: 税務研究会 発行: 2020.9 著者: 萩谷忠 -
もう悩まない!現地駐在者直伝! アジア進出企業の税務トラブルQ&A
アジア諸国進出企業が直面する現地国での特有の税務トラブルを、現地で実際に解決に導いてきた著者らの活きた豊富なノウハウにより解決する実践的解説書。日本企業の進出数が多いアジア 10か国(中国、香港、台湾、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、 インド)について、「国別」に「Q&A」形式でわかりやすく解説する。
定価: 4,000円(税別) 出版社: 第一法規株式会社 発行: 2018.03 著者: 伊藤雄二、外園雅大 -
Q&A 移転価格 ドキュメンテーション 基礎知識と実務対応
課税当局の動向、調査の着眼点を踏まえたピントのあった解説。文書化を行う上で必要な基礎知識から、最近のBEPSの動向までをわかりやすい切り口でカバー。
定価: 3,000円(税別) 出版社: 税務経理協会 発行: 2015.10 著者: 伊藤雄二、十河直彦 -
Q&A 移転価格の税務調査
移転価格税制の基本知識から調査官の考え方、移転価格調査に対する適切な対応までQ&Aで丁寧に解説。「無形資産をめぐる国外関連取引」の増加に伴う問題点や「広告宣伝費用の負担関係」についての考え方等、現在の重要論点を整理。
定価: 3,000円(税別) 出版社: 税務経理協会 発行: 2014.01 著者: 伊藤雄二 -
図説移転価格税制 – Visual TP(全訂第2版)
移転価格について文字とビジュアルでわかりやすく解説。
定価: 4,200円(税別) 出版社: 税務研究会出版局 発行: 2012.09 著者: 伊藤雄二、萩谷忠 -
Q&A 移転価格税制のグレーゾーンと実務対応
現状において最も課税リスクがあるポイントに斬りこむ!実務上の諸問題の中で、重要であるにもかかわらず明確な方向性が示されてこなかったものを取り上げ、独自の見解を示した先駆的解説書。
定価: 2,800円(税別) 出版社: 税務経理協会 発行: 2012.03 著者: 伊藤雄二、萩谷忠
ニュース・トピックス
税理士法人フェアコンサルティングのニュース・トピックス情報
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2024年4月26日
2024/3/27 日本税理士会連合会主催 「令和5年度全国統一研修会 国際取引に関する税務調査について~寄附金と移転価格~」についてマルチメディア研修を行いました。
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2023年6月2日
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2023年6月2日
2022/7/22 札幌国税局職員、札幌市内税務署職員向けに、「非居住者及び外国法人の不動産取引に係る課税問題等」について研修を行いました。
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2023年6月2日
2022/3/7 ~ 4/6 福岡国税局職員向けに、「外国子会社合算税制の適用除外基準、移転価格税制の基本」についてWebinarを開催しました。
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2023年2月13日
「国際税務の相談室★金融取引(移転価格税制)」
タイトル:「独立企業間価格の算定に、金融ツールを用いることができるのか」